日本保守党の事務総長を務める有本香氏は、従来の国政政党が目指す「政権奪取」や「議員数拡大」といった路線とは一線を画す姿勢を鮮明にしている。

彼女の発言の中で特に注目されるのは「保守党には議員はいらない」というフレーズである。この言葉は、国会で多数を取って政策を実現するという常識的な政党活動とは真逆の発想であり、党の存在目的そのものが「議員による立法や行政への関与」ではなく、「運動体としての影響力」を重視していることを示すものだ。
つまり、政治団体としての保守党は議員の数ではなく、党員や支持層を基盤とした「言論活動」「街頭活動」を通じて影響力を拡大する方向性を打ち出しているのである。
政党交付金はすべてプール
有本事務総長の運営方針として特徴的なのは、国民から税金として支給される政党交付金の扱いである。通常、政党交付金は党所属議員の活動費や政策立案費、人件費などに割り振られる。
しかし保守党ではこれをほとんど使わず「プール」しているとされる。つまり資金を党本部で一元管理し、各議員や候補者に直接配分しない仕組みだ。
この運営方式は、党員や支持者にとっては「資金が適切に使われているのか」という疑念を生じさせる可能性が高い。透明性を欠けば「政党交付金ビジネス」との批判を免れないだろう。
実際の政策実行や議員活動に還元されない資金の存在は、党の理念と矛盾するのではないかという問いを投げかけている。
政治活動は旅行街宣
保守党の政治活動の中心は、従来の国会内での議論や委員会活動ではなく、地方都市をめぐる「旅行街宣」である。
有本氏や党首が全国を行脚し、地方で講演会や街頭演説を行うことで支持を拡大するスタイルを取っている。これにより熱心な支持者層を動員し、イベント形式の活動で結束を高めている。
しかしこの活動が「実際の政策形成」や「立法活動」に直結していない点は、他政党と比べて大きな違いとなる。つまり保守党は、国会での議論や政策の積み上げよりも、むしろ「街頭の熱量」をエネルギー源とする運動体的性格を持っているのだ。
そのため、支持者にとっては共感しやすいが、批判者からは「旅行サークル的な活動」と揶揄されるのである。
保守党は比例候補者のみ
有本氏の方針では、保守党は基本的に比例代表候補者の擁立を中心に据える。小選挙区から候補者を立てて議席獲得を狙うのではなく、比例枠で当選者を確保し、党としての存在感を維持するという戦略だ。
比例当選者は、立法事務費や公設秘書給与といった議員特権的資金を伴うが、それを個々の議員が管理するのではなく、党本部が一括管理する仕組みを構築している。
つまり「議員を党のための駒」として扱う形だ。このやり方は徹底的な中央集権型運営であり、議員個人の独立性を奪う一方で、党運営の資金を最大限に引き出す効果を持つといえる。
保守党はマネーロンダリングでも狙っているのか
寄付金と政党交付金を党本部にプールし、当選議員からの立法事務費や秘書給与関連費用まで党が吸収して管理するという仕組みは、外部から見れば「マネーロンダリング的」だと疑念を持たれても仕方ない。
有本事務総長が資金を「透明に使っている」と証明できなければ、資金操作を目的にしているとの批判は避けられない。
特に、支持者から集めた寄付金と税金である政党交付金を混在させる管理体制は、極めて疑惑を招きやすい。
政党としての理念が「議員は不要」とする以上、なおさら「その資金は何のために存在しているのか」という問いが突きつけられるだろう。
まとめ
日本保守党と有本香事務総長の運営方針は、従来の国政政党と大きく異なる。議員を必要としないという思想、政党交付金をプールする仕組みだ。
政治活動が街宣中心である点、比例議員の資金を党が管理する体制――これらはいずれも「政策実現のための政党」というより「資金と支持者を集める運動団体」としての性格を色濃くしている。
果たしてそれが政党として正当なあり方なのか、それとも新しい形の政治活動なのか。いずれにしても、資金の透明性と政治活動の実効性が問われることは避けられないだろう。
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